碓氷峠ランの魅力

 

軽井沢マラソンフェスティバルの初日の大会「碓氷峠ラン184」の魅力は、高低差400mを一気に下り、折り返して一気に登る碓氷峠の本来の楽しさ(過酷さ!?)もさることながら、その名の通り184のカーブを抜けるたびに広がる紅葉の美しさ、深山の深さ、清流の音に心打たれる瞬間であろう。

このコースには目玉となる名所旧跡がある。

それは、古く明治時代にさかのぼる、日本が維新を経て近代化の波に身を置く新しい時代の夜明けに計画・建造された日本近代史の遺産である。

当時、優れた海外の技術を入れるため、諸外国からさまざまの分野で多くの講師、技術者を入れた。
日本史に残る「お雇い外国人」がそれである。
日本の近代化は彼らの活躍によるところが多く、今日でもその偉業を目にすることができる、このマラソンコースにある通称めがね橋と呼ばれる橋梁もその一つである。

群馬県安中市松井田町と長野県北佐久郡軽井沢町を結ぶ旧道「碓氷峠」は標高約960m山中の険しい街道であるが、江戸時代(1603.March.24-1868.May.3)から1971年まで主要産業道路として活躍。
それに併走するように、上野駅-横川駅間が1885年に、軽井沢駅-直江津駅間が1888年に開通。
その後延長11.2kmの間に18の橋梁と26のトンネルが建設され、着工から1年9か月後の1892年12月22日に工事が完了し、翌1893年4月1日に官営鉄道中山道線(後の信越本線)として横川 - 軽井沢間が開通した。

ときの明治政府鉄道局は1889(明治22)年6月に、難工事とされる、中部山岳地帯および碓氷峠に、鉄道局建築師長のパウネル(Charles Assheton Whately Pownall)氏を派遣し現地の踏査が行われ、その後在英の顧問技師をシャービントン(Thomas R. Shervinton)氏が、アプト式鉄道を推薦、1890(明治23)年9月にアプト式を用いて和美線とすることが決定し、1891(明治24)年1月に、鉄道局技師の松本荘一郎、本間栄一郎、建築師長C.A.W.パウネル氏らが再び測量の結果、同年年2月4日に中尾線を本線として66.7パーミルの勾配を、急斜面の山岳鉄道にみられるアプト式を採用、日本で初の建設をすることに決定した。そして、峠の谷間を縫うようにレンガ造りの橋梁を建設し、そのうえに鉄道路線を敷設した。

この橋梁の中でも碓氷峠第3号橋梁(一般にMeganebashiとして知られている)は非常に美しくい。

現在これら一連の橋梁、隧道などは1993年から翌年にかけて近代化遺産として国の重要文化財に指定されている。
この技術はのちについ最近まで見られた東京駅舎を生む。
そう、このマラソンは日英の技術文化の架け橋ともなったチャールズパウエル氏を称え、技術文化の交流=人間の交流に培われた平和を讃えるマラソンでもある。

資料:
「お雇い外国人」とは、工業化を始動・加速させた、鉱物資源の効率的最大限利用を可能にした近代工業技術の多くはイギリスに期限をもち、18世紀末以降、世界に伝播していった。
イギリスから欧米への技術移転と異なり、地理的にも遠く、人種・言語・文化・思想・宗教・風土・生活習慣などが全く異なる日本への技術移転は、はるかに難しいものであり、その成功は、当時としては極めて稀な現象であった。
技術移転の基本的な媒介手段として「人間・機会・文献」が挙げられるが、それらの手段を様々に組み合わせて移転を行うために制度や機関が形成させた。
その中の代表されるものとして「お雇い外国人」として現在でも日本国史の中に、民間の記録に今も重大な意味を持って称えられる海外より招聘された2690人の知識人・技術者集団がいる。

中でもイギリスからの招聘は1124人と全体の42%を締め、政府雇用では50.5%、さらに当時の工部省では72.5%に達し、いかにイギリスが工業先進国であったかがうかがわれる。因みに講談社から「お雇い外国人」というそのままのタイトルで出版されているので興味のある方は一読され、日本の近代史にふれるのも一興だろう。

また、40代~60台には懐かしい青春時代、モーターリゼーション華やかなりし頃。
しげのしゅういち氏が描く「頭文字D(イニシャルD」という漫画がはやった。
セリカやスカイラインなどの往年の車を乗りこなし、峠を攻める彼らの姿にヤング層のみならずおやじ族までも巻き込み一大ブームを巻き起こしたが、その中で出てくる峠もここである、物語の中の藤原豆腐店も名称は違えど実在し、このマラソンを応援してくれている。

その伝説の峠を、すべての車両をストップして走れるコース、彼らが攻めた峠を今度は自分の足で攻めてみるもおもしろい!

本年で4回目を迎えるこのコースには過去、谷川真理さん、猫ひろしさん、なべやかんさんなどをはじめ、幾多のアスリートが参加しているが、皆完走後に語る言葉は「感動!」であった。

記録だけではない。

今ある自分のペースでこの素晴らしいコースを体感されてはいかがだろうか!




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